リンゴを面でとらえる
指導ではけっこうしつこく物を面でとらえるように言っていますがそのサンプルをお見せします。
面取り石膏像はとても良いエクササイズですがただ描いても上達にはつながりません。
なぜ面取りした石膏を描かなければいけないのか一度考えてみましょう。
具体的には面毎に的確なトーンを乗せるエクササイズの意味合いが強いですね。
例えば直方体は面だけでできているので簡単にわかりますね。
で、問題になるのが丸いものです。「面が見えない」ということになります。
「面がどこだかわからない」という人は丸い物をわざとカクカクに面切りして描いてみてください。
間違っていてもかまいません。面の区切り方は個人によってある程度変化します。それが個性にもなるので正解はないと思ってやってみてください。
描かないとダメですよ。描いてやっと理解できる部分が多々あります。
ちょっとサンプルをお見せします。白いリンゴの置物です。
○面でとらえるメリット
・どこからシャドウなのかはっきりする
・明部の繊細なトーン変化に敏感になる
つまり…立体感がしっかり表現できるようになる。
☆物を面でとらえるコツ!
丸い物でも包丁でざく切りしたようなイメージで観察してみてください。
左上からの光に対してシャドウをつけてみました。
シャドウにトーンを乗せるだけでもある程度の立体感が出ます。
☆シャドウが始まる面を見つけるコツ!
光源から顔を背けた面がわかればそこから全てシャドウになります。
○反射光のトーン
反射光はどこかに当たって跳ね返ってきた光です。光源からの光が周りの物に当たってどういう角度で反射してきているのかをよく観察してください。シャドウ内の面毎のトーン変化に敏感になります。
最後に明部にもトーンをつけました。
特例を除いて明部はシャドウよりトーンの高いところです。シャドウより濃くならないように気を付けながらトーンをつけましょう。
ここでも同じで光源の光の向きを考慮しながらトーン変化を与えていきます。基準になるのは光源に真正面を向いた面です。この面が一番明るくなります。その面に対して他の面がどの程度トーン変化しているかチェックしましょう。
面毎にトーンを把握できるようになると油彩のようにタッチを残す画材でしっかりした絵が描けるようになります。
シャドウ部分にも豊かな色で反射光を置けるのでデッサン嫌いな人も面への考え方はおさえていきましょう。